神判ってカードに対する愛憎
遊戯王OCGっていうトレーディングカードゲーム*1が世の中にはあるんですけど、このカードゲームに一枚、私のヘイトと愛情を一身に受けているカードがあるんですよ。なんていうかもう笑って流すしかない域のカードなんですが、これがどんだけおかしいのかをとりあえず、喋りたい。*2
遊戯王OCGとは
1999年にコナミから発売され、それからなんか*3世界的にも有名なカードゲーム。週刊少年ジャンプの人気漫画「遊☆戯☆王」に出てくるデュエルモンスターズっていうカードゲームを元にしたもので、正式名称は「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ」*4。
販促アニメが新しくなるごとにルールがちょこっとずつ変わるすごいゲーム。アニメはアニメでこちらも独特すぎる魅力を放っており*5なんかもう説明できないから観て。オススメは強靭過ぎるメンタルを持つ主人公が全てを救っていくダメ人間救済アニメZEXALです。*6
簡単なルール
- MtGとは違い、カードの発動に必ず必要とする共通のコストというものはない
- そのかわり、モンスター*7を通常召喚できるのは1ターンに1度のみで、レベル*8によっては場のモンスターを墓地に送る必要がある
- 場に召喚できるモンスターは5枚+エクストラデッキ*9からのみ召喚できるフィールドに1枚の計6枚まで
- 魔法カード*10の一部*11や罠カード*12を相手ターンに発動する際はフィールドに裏側で置かなければならないが、5枚までの制限がある
- いわゆるデザイナーズデッキがメイン。テーマと呼ばれる*13共通のカード名を持ったカード群でデッキが組まれることがおそらく他のカードゲームより多い
他にもチェーンブロックとか優先権とかダメージステップのタイミングとか色々あるしカードごとに裁定が違ったりするんですけど割愛。マナがないので使える手札が続く限り俺のターンが続きます。
相手ターンに棒立ちになることが少なく、カウンターの応酬が発生しやすいところが個人的にめちゃくちゃ楽しくて大好きなところです。あと、マナに縛られないおかげでよく分からないデッキ*14が多いところも好き。
粗もたくさんあるけど、ワイワイ遊べて楽しいんですよね、遊戯王OCG。トーナメントとか選考会とか出ると大変だけど。
魔導というテーマ
んで、問題の私のヘイトを集めるカード。その名前を「魔導書の神判(まどうしょ-しんぱん)」と言います。こいつの話を始める前に、このカードが属するテーマ「魔導」についての話をさせてください。このテーマ大好きなんで。
「魔導」は「魔導○○ 名前」という命名規則で名付けられたモンスターカード群と、「魔導書」という単語が含まれた魔法カード群によって構成されるテーマです。特徴としては全員魔法使い族であること、タロットカードをモチーフとしてデザインされていることが挙げられます。また、魔法使いのイメージに違わず魔法カードの使用・再使用、自身のデッキから魔法カードをサーチすることに長けたテーマであり*15、テーマ専用の魔法カードで大抵のことはこなします。*16
検索してもらえればわかるんですが、かなり素敵なイラストがメインでして、フィニッシャーとして扱われる最上級モンスターの「魔導法士 ジュノン」とかめちゃくちゃ可愛くてかっこいいお姉さん*17なんですよね。大好き。
基本的にデッキからのサーチを繰り返すテーマなので、安定した強さを持っています。派手なコンボとかはないんですが、堅実に戦える良いテーマでした。*18
ええ、「魔導書の神判」が来るまでは。
魔導書の神判はおかしい
まず、「魔導書の神判」を検索した時のサジェストを見て欲しい。笑えるから。
頭おかしい ぶっ壊れ
気持ちはよく分かる。だって頭おかしいからこのカード。
そんなサジェストにすらdisられる「魔導書の神判」のカードテキストはこちら。
魔導書の神判 ※禁止カード
速攻魔法
このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、このカードの発動後に自分または相手が発動した魔法カードの枚数分まで、自分のデッキから「魔導書の神判」以外の「魔導書」と名のついた魔法カードを手札に加える。
その後、この効果で手札に加えたカードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体をデッキから特殊召喚できる。
「魔導書の神判」は1ターンに1枚しか発動できない。
まあなんていうか、遊戯王OCG分かる人ならアアー頭おかしいーってなるんだけど他のTCG勢にはピンと来ないと思うんですよね。なのでMtGっぽく書き直してみたよ。
魔導書の神判
インスタント
マナ・コスト なし*19
このカードを唱えたターンの終了ステップの開始時に、このカードが唱えられた後に唱えられた全てのソーサリー・カード、インスタント・カード、エンチャント・カードの枚数分まで、あなたのライブラリーから「魔導書の神判」以外の「魔導書」ソーサリー・カード、「魔導書」インスタント・カード、「魔導書」エンチャント・カードを探して手札に加える。
その後、この効果で手札に加えた数以下のコストを持つ「魔法使い」をアンタップ状態で戦場に出す。
このカードは1ターンに1回しか唱えられない。
こんな感じ。書いてて嫌になってきた。
自分のターンでも相手のターンでも発動でき、ありとあらゆる魔法カードの発動をカウントし、手札を使いまくっても自分のターンの終わりにはデッキから好きなだけサーチした魔法カードが手札に揃ってなおかつモンスターがフィールドに増える。*20
何だこのカード。酔っ払って作ったのか。
遊戯王OCG史上最も頭がおかしいカードだと私は思ってるんですよ、これ。「魔導書の神判」が発売されたのは2013/2/16。遊戯王OCGがスタートしてから実に14年が経っているワケです。なにを持ってこのカードを良しとしたのか知りたい。
例えば、このカードが高レアリティならまだ「うん、売上あげたかったのね☆おちゃめさんだなあ☆」で終わるんですけど、これ最低レアリティなんですよ。パックからどんどん出てくる。僕にはコナミが分からない。
このカードのおかげというかこのカードのせいというか、「魔導」というテーマは一気に環境ツートップへと上り詰めます。その時に相手していたテーマは「征竜」というこれまた頭おかしいカードの束なんですけど、その「頭おかしいカードの束」に魔導は「魔導書の神判」だけで対抗していたんですね。最終的には「魔導書の神判」に相性のいい魔法使いを集めたデッキになっていて、「魔導」というカテゴリからは外れてしまったんですが。
なんかそこだけ見ると伝説のドラゴンの群れに禁呪で対抗した魔法使い集団みたいな感じがあって、ちょっと物語めいている。
もちろん、こんなカードが野放しにされるワケもなく、次の制限改定で禁止カードに指定されました。まあ……そうなるな。
おわり
魔導書の神判というカードに対しての感情というのは愛憎入り混じっているんですが、何よりどうしてこのカードを作った……?という困惑が一番大きかった当時。少し離れてから見ると、いや、でもやっぱり困惑するぞ???なんでこんなカード作ったの????誰がどう見ても狂ってるでしょ。テスト時に修正する前のカードテキストで作っちゃったの???????
*1:英語版はTCGだけど日本語版はOCGという謎のゲーム。TCGじゃなくてぇ、玩具なんだよねぇ
*2:ブログじゃねーか
*3:アバウト
*4:前はアニメが変わるごとに正式名称も変わってたんだけどロゴ変えるの面倒になったんだと思う(邪推)
*5:ニコニコでDMの一話が観れるよ
*6:私の趣味です
*7:=クリーチャー
*8:遊戯王OCG独自の設定。よく分からない基準により決定されてる。
*9:条件を満たすことで召喚できるモンスターのみを構築したデッキ。メインデッキとは別に15枚まで用意できる。サイドボードとは別
*10:=ソーサリー
*11:≒インスタント
*12:遊戯王OCG独自の概念で場に裏側で置いて次のターンから使えるインスタントみたいなカード
*13:非公式だとカテゴリって言う方が多いかも
*14:手札ゼロをアドにするデッキや、墓地を掃除したり、デッキから墓地に投身自殺したらモンスターが並んでデカイドラゴンが出てきて場を更地にするとかそんなんばっか
*15:このテーマ専用の罠はない。すごく昔に出た名前に魔導書と入っている罠はあるんだけど
*16:それこそモンスターの復活までやってしまう
*17:エッチなお姉さんとも言う
*18:さすがに今の環境だとしんどいけど。
*19:遊戯王OCGにもコスト必要なカードはあるんですが、このカードは発動にコストいらないんで
*20:しかも魔導書は相手のモンスターの除去も得意としています、インスタントで。
*21:説得力/Zero